
2023年12月20日(水)
冬巡業大相撲尼崎場所が、ベイコム総合体育館にて開催されました。
尼崎巡業では力士の公開稽古、取組から質問コーナーや髪結実演など様々な催しが行われ、大盛況で終了しました。
これらの詳しい巡業内容を、レポートとしてお届けします。
開場・朝太鼓


寒空の下、開場前からすでに沢山の方々が並ばれていて、今か今かと心待ちにしている様子でした。
そして、朝太鼓の音色と共に入場開始です。

呼出しによる軽快な太鼓の音に、高揚感が高まります。
公開稽古
会場に入ると、力士達の朝稽古が始まっていました。

稽古は番付が下位の力士から始まり、時間を追うごとに番付上位の関取衆というように展開していきます。
入れ代わり立ち代わりで何度もぶつかる姿は取組さながらの迫力があり、思わず「おぉ~」と声が漏れ出てしまうほどでした。

稽古中はぶつかり合う力士の名前がアナウンスで紹介されていたので、初めて見る力士を知る事も出来ました。
力士への質問コーナー
稽古が終わると、力士への質問コーナーが行われました。
今回はお客様から事前にお預かりした質問に答えて頂きました。

質問に答えて頂いたのは宇良関、妙義龍関、豪ノ山関の御三方です。
一番最初の質問は、
Q「お相撲さんはどれぐらいの食事を食べられますか?」
という問で、それに対しそれぞれ、
宇良関 「相撲取りになった時は肉500gが精一杯だったが、今では1.5kg食べられるようになった。」
妙義龍関 「昨日の夜、2時間半ほど食べ続けた。」
豪ノ山関「皆がびっくりするぐらい食べる。」
と回答されていました。
その流れで、
Q「お相撲さんのおやつは何を食べるんですか?」
という質問に妙義龍関は、
「あまりおやつは食べないが、この間バス移動の際に6年ぶりにポテトチップスを3枚食べた。」
と答え、会場に笑いが起こりました。
ほかにも、
Q「何故お相撲さんになりましたか?」
A豪ノ山関「お金を稼げるからです。」
妙義龍関「大学で相撲部だったので挑戦しようと思ってなりました。」
宇良関「強い男になりたかったからです。」
Q「仲のいいお相撲さんいますか?」
A宇良関「皆と仲良くしてもらってる。」
妙義龍関「同級生の碧山関。」
豪ノ山関「高校の後輩の王鵬と仲が良い。」
さらには、
Q「お相撲さんは歌が上手いと聞きますが皆さんはどうでしょうか?」
という質問で妙義龍関は、
「宇良関が上手いと聞いた。」
と答えられ、その後宇良関が童謡『海』を披露して下さり、手拍子で会場が一体となりました。
この他にも様々な質問に答えて頂き、会場は終始和やかな雰囲気でした。
幕下以下の取組
暫し休憩ののち、取組開始です。
まずは、幕下以下の力士の取組が行われました。

激しい攻防に客席からも歓声が上がります。
応援する力士の名前を叫んでいる様子も見受けられました。
兵庫県出身の力士や、開催場所である尼崎出身の力士が登場した際には大きな拍手に包まれました。
夢道鵬さんと朝乃若さんの取組では、朝乃若さんが立ち合いでダイナミックに飛びかかり土俵いっぱいを使った押し合いの末、上手投げで夢道鵬さんが勝利しました。
勢いのある取組に、驚きと迫力で声が上がります。
会場では決まり手のアナウンスもされていて、初心者でもより楽しく観戦することが出来ました。
髪結実演・甚句・初切・太鼓
幕内力士の取組の前には、様々な催し物が行われました。
髪結実演
まずは、普段は見ることが無い髪結の実演が行われました。
モデルは妙義龍関と北の若関、実演は床山の床隆さんと床竣さんです。
解説と共に慣れた手つきで髷を結っていく姿は、熟練の技を感じさせます。

力士の髪形には昔様々な種類がありましたが、現在では丁髷と大銀杏髷の二つだけで、普段は丁髷ですが十両以上の関取になると、土俵入りや取組の時には大銀杏で土俵に上がるそうです。
相撲甚句
次に、相撲甚句が披露されました。

披露して下さったのは勇輝さん、琴ノ藤さん、和歌桜さん、栃岐岳さん、美浜海さん、安芸錦さんです。
化粧廻しをつけた力士が円になり、合いの手を入れながら代わる代わる唄っていきます。
相撲甚句のことを昔は型と呼んでいて土俵の上で攻める型、守る型を見せながら唄っていたが、現在は手拍子・足の音頭に合わせて唄うようになったそうです。
会場に美しい唄声が響き渡り、日本の伝統が感じられました。
初切
甚句が終わると、初切という相撲の禁じ手や珍しい決まり手を面白おかしく紹介するパフォーマンスが、千代北海さんと千代天富さんにより行われました。


コントさながらの掛け合いに、会場ではこの日一番の笑いが起こります。
さらに塩を頭からかけられた場面では、「うわあぁ~」とどよめきの声も上がりました。
取組では見ることの無い力士の姿に、相撲を身近に感じる瞬間でした。
太鼓打分の実演
最後の催し物として、太鼓の打分が呼出しの隆二さんによって披露されました。

相撲協会の前身、相撲会所で何か相談事があった際親方衆を呼び寄せる為の寄せ太鼓。
昔は真夜中の2時か3時に打たれ、天下泰平・五穀豊穣を祈って打たれた一番太鼓。
相撲が終わると「本日はめでたく終了しました。皆様ごきげんようお帰りください。また明日もお待ち申しております。」という意味で打たれ、一日興行や千秋楽では打たないこととなっているはね太鼓。
以上の打分が披露され、凛とした姿で複雑なリズムを打ち分けられていて素晴らしい太鼓の音色に聴き惚れてしまいました。
土俵入り・幕内取組
そしていよいよ、幕内力士の登場です。
土俵入り
力士達が化粧廻しをつけ、東西に分かれて土俵に上がります。

その姿には確かな貫禄がありました。
行司が先導し、会場アナウンスと共に力士達が次々と土俵に上がっていき、観客もそれぞれ応援する力士の名を呼んでいました。
幕内取組
ついに幕内力士の取組が始まりました。
お待ちかねの力士の登場と、大迫力の取組に会場の熱気も上がっていきます。
間近で見る幕内力士の激しい取組に圧倒されました。
取組も終盤に差し掛かると、三役揃い踏みが行われました。


三役揃い踏みとは、結びの三番前に大関・関脇・小結にかなう力士が揃って四股を踏むことです。
そして、結びの一番は貴景勝関と霧島関による取組です。

客席の熱気も最高潮に達する中、激しい攻防が繰り広げられた結果、寄り切りで貴景勝関の勝利となりました。
弓取式
全ての取組が終了し、弓取式が行われました。

弓取式とは、結びの一番の勝者に代わり作法を心得た力士が土俵上で弓を受け、勝者の舞を演ずることです。
この日は勇輝さんが弓取式を行いました。

最後は観客の「ヨイショ!」の掛け声の中、四股を踏んで終了となりました。
打ち出し
以上で尼崎巡業の全ての行程が終了し、打ち出しとなりました。
老若男女様々な方にご来場頂き、会場も大いな盛り上がりを見せ皆様も終始楽しそうな様子でした。
また、力士の方々も合間合間でお客様と触れ合ったりファンサービスをしていらっしゃったりと、巡業ならではの距離の近さが感じられました。
普段は見ることが出来ない力士の姿を、この尼崎で間近に体験出来たことを嬉しく思います。
この巡業がご来場頂いた方にとって素敵な思い出となりましたら幸いです。
この度はご来場、誠にありがとうございました。